初夏の苗
稲は足音を聞いて育つ
「人生の楽園」というテレビ番組があります。平成30年の秋だったでしょうか、番組で言うところの楽園の主人がさりげなくこう語りました。……稲は足音を聞いて育つ、と言いますが……、
稲作においては、夏には耕したり刈り取ったりという仕事がありません。それでも毎日田んぼへ通います。子供の頃、何をしに行くのか大人に聞いたことがあります。すると大人は、水を見に行くのだよと答えてくれました。
水を見に行くということは、水の管理をしっかりするということだろうと想像がつきます。そればかりではなく、毎日水を見て回ることで、草が生えれば草を取り、畦(あぜ)が壊れれば畦を直し、害虫が出たら退治し、病気が入れば処置をする…という作業を、少しずつ毎日行ったということでしょう。
稲は日の光を浴び、水を吸い上げて育ちます。人は水を見て回り、草を取ります。そして、その足音を聞いて、稲は育ちます。「育つ」であって、「育てる」ではありません。けれど、注意すべきことは、稲は人の足音を聞かないとうまく育たないということでしょう。
子供は、稲に似ています。日の光を浴び、水を吸い上げて子供は育ちます。親は水を見て回り、草を取ります。そして、その足音を聞いて、子供は育ちます。ただし、親の足音を聞かないとうまく育ちません。
子供にも稲にも、足音をしっかりと伝えたいものです。
稲穂 収穫の秋